工業地帯・工業地域。②
2010年6月08日前回は「最近なぜ北九州工業地帯を四大工業地帯に含めないのか?」というお話で終わりました。
北九州工業地帯は明治時代の「殖産興業」から発達しました。つまり、国を挙げての工業推進プロジェクトの一環ですね。重工業こそが国の礎を築くと考えから、この地に一大製鉄工場を作りました。これが有名な「八幡製鉄所」ですね。
製鉄に欠かせない原料は何でしょう?それは鉄鉱石・コークス(石炭)・石灰石です。それに銑鉄を冷やすための豊富な水ですね。北九州の場所を確認いただければわかりますが、中国大陸に近い。それに海沿いにある。当時鉄鉱石は中国から輸入していました。そして、それは船で運ばれてきますので製鉄業を営むには北九州はもってこいの好立地だったのです。
また、近くには三池・筑豊などの炭田もありましたし、石灰石は山口県(カルスト地形で学習しましたね)から調達できました。
しかし、状況が変化しました。現在、鉄鉱石・コークスの輸入量がオーストラリア産のものが増えているなどさまざまな諸条件が重なり、必ずしも北九州にこだわる必要がなくなりました。
今では、工業地域を含めての工業生産額でも北九州工業地帯は下位に属しています。特徴があるとすれば「食料品」の生産額が他と比べ多いということです。(その理由は自分で調べてみましょう)
工業に限らず、時代によっていろいろなことが変化していきます。その「潮目」を感じとっていくことも社会の学習の一つですね。 では次回へ。