入試を左右する家庭力⑤ 「優しい親とは?」
2010年4月16日
昨日は「厳しい一方で優しい親」を持つ子は成績が伸びやすいという話をいたしました。が、そのような親にはなんとなくなれるものではなく、「この状況ではどのように振舞えばよいのか?」と自分自身を客観視したうえで意図的に作り上げていくものなのです。簡単言えば「演技力」も多少は必要であるということです。
例えば子供が嘘をついたとします(テストの結果などで)。それが露見したとき、頭ごなしに「嘘をつくのはダメよ」とか「嘘つきは泥棒の始まりだからね」と責めるのは簡単です。しかし、子供も何か理由があって嘘をつかざるを得なかったかもしれません。「ばれて親に叱られるのが怖い」「親に心配をかけたくない」など。親はそのときのお子さんの心の葛藤・嘘をついた動機にまで遡って熟慮したうえで慎重に発言しなくてはなりません。しかもお子さんが嘘をつかざるを得ない状況に追い込んだのが親の狭量であることも多いのです。
この場合はテストの結果について嘘をついています。「どうして嘘をついたの?」という質問はNGです。お子さんにそのような質問をしても黙り込むだけでしょう。なぜなら、お子さんは自分が発言した後、倍返しで責められることを経験上わかっているからです。そこで親は「叱られるから嘘をついたの?」「心配をかけたくなかったから嘘をついたの?」という質問に切り替えます。お子様が嘘をついた動機に触れた質問ですので、親に自分の気持ちを理解してもらえているという安心感から少しずつ話し始めていくでしょう。そのときは一切口を挟まず「それで?それで?」と聞き出していきます。相手が話し終えてすっきりしたところで初めて親が自分の考えを発言します。
そのときは「叱られたくなかったんだね」「心配かけたくなかったんだね」と発言し共感したうえで「その心配や心遣いは必要ない」と示してあげます。子供の嘘は「親がテストの結果を相当気にしている」と推測してのものですから、その推測は的外れのものだから安心して本当のことを言えばいいというニュアンスのことを伝えればいいのです。
「テストの点はこだわらなくていいよ」という伝え方もあります。しかし、これでは単に「甘い親」になり、逆に子供に舐められてしまうでしょう。ですから、そのように発言した後で「でも、結果を出せなかったことは事実だから、そこは何とかしたいね。手始めにできなかった問題をもう一度解き直してみよう。そこさえ理解できればテストで満点をとったも同じだから」と、子供の弱点・やるべきことを具体的に明示し、その克服を確約させ、最後に自信をもたせて発言を終了する。一例ですがいかがでしょうか?
「優しい親」とは子供の気持ちを的確に察し、その気持ちに沿った形で振舞い発言できる方です。明るい性格であることも大切ですね、親に共感してもらえることは子供にとって心強いことです。いついかなるときでも親は子供の味方であってください。
次回は「厳しい親」についてのお話しです。
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