強要すればするほど、子は学習から遠ざかる。②
2022年5月13日
続きです。
「将来が見える親」と「将来が見えない子」の間にある思考のギャップはそう簡単に埋まるものではありません。相容れない思考と思考のぶつかり合いの中で、親が無理矢理やらせようとしても、子どもは頑なに学習を拒否しようとします。そして双方がヘトヘトになるのであれば、学習は家庭内の平穏を乱す害悪でしかなくなります。現実問題として受験をきっかけに家族がおかしくなったという話もよく耳にします。
そもそも中学受験は(動機がどうあれ)子どもの意志で決めたことなのか?ここが最重要です。もし、親の意志で「中学受験することにしたよ」(従いなさいね)ならば、やめたほうがいいです。
いくら親御さんが中学受験の必要性がわかっていたとしても、お子さんの将来が心配だとしても、幼い子はピンとこないからです。ピンとこないことに対しては誰も情熱など持てないのです。親主導の中学受験は「我が子の将来が心配」というより「子の将来を心配したくない親の都合」が見え隠れします。だから中学受験の準備に情熱を燃やさず、のほほんとしている子が許せない、親の都合に逆らうことをしている子を見るとイライラしてつい怒鳴ってしまうのです。しかし、自分の意にそぐわないからといって、子どもを責めるのは決して好ましいことではありません。
「中学受験に向かない家庭」というのがあります。それはお子さんの能力どうこうという話ではなく、「親子の信頼関係が築けていない家庭」です。私はこういうことが感じ取れるご家庭の親御さんには意識改革を、それを躊躇されるのであれば受験断念をお勧めしています。こういう基盤の弱い家庭のお子さんは間違いなく受験に失敗し(私も含め)誰も得しないからです。中学受験では「人間力」「家庭力」が見られているのです。
もう一度言います。
子どもが決めた中学受験でなければやめましょう。
何もわからない子に「中学受験は誰のため?」「自分のため」と言わせるような受験ならやめましょう。
親のエゴが前面に出過ぎた中学受験になっている、中学受験が家庭をおかしくしてしまっている、という自覚があるならやめましょう。
受かって親が自慢したいだけの受験ならやめましょう。
落ちた我が子を責める受験になりそうならやめましょう。
そうではなく「子どもが(親に気を遣うとかではなく)本当に自分の意志で中学受験を望んでいる」のであれば、話は別です。もしくは親主導型の受験であっても
1 親子で意思の疎通がきちんとできている、つまり日頃から親子関係がいい。
2 子どもが親の後ろ姿を見て育っており親を尊敬している、且つ、親の生き様・価値観を子が十分理解している。
ならば、受験資格はあろうかと思います。
次回に続きます。