強要すればするほど、子は学習から遠ざかる。
2022年5月10日
これは不思議なことであり、また親御さんには胸に手をおいて考えていただきたいことでもあるのですが、「どうして親は子どもに学習を強要してしまうのか?」についてですね。一体その心理の本質とは何なのでしょう。
親御さんの回答の多くは「子どもの将来を考えて」だと思います。長年「学歴社会なんて時代遅れ」と揶揄されても未だにそれが幅をきかすのは、学歴の高さと社会的信頼の高さは概ね比例するからです。その理由として、地頭の良い人には安心して物事を託すことができるから、得難いであろう高学歴を確保した実績の根底にある人間的強さが認められるから、などが考えられますが、確かにその通りだと思います。そして我が子をその軌道に乗せるには年少時から学習させておく必要があり、その努力はバラ色の将来につながるかもしれない、という考えですね。
人生経験の豊富な大人は「過去に何をすれば将来につながるか」が見えています。しかしそれを実感できるほど人生経験を積んでいない子どもには見えません。その結果、目の前の刹那的な事象にしか興味を持てない子と、将来が予測できてしまう大人(親)との間で考え方や価値観のギャップが起こるのは仕方ないことで、その代表事例が「勉強」だろうと思います。端的に言えば「勉強しなさい」「いやだ」の親子の応酬ですね。多くの家庭はこの繰り返しが日常化しています。
上記を踏まえて、改めて最初に提示した疑問「どうして親は子どもに学習を強要するのか?」を再考しますと、「将来が見えてしまう親」は、その親の意に反して「何も動こうとしない子ども」に不安とフラストレーションを抱えており、その親が「子どもの将来を考えて」という表向きの理由以上に、実は自分の不安とイライラを解消するため子どもに学習を強要している、というのが見えてきます。勉強とは本来叱りながら叱られながら行う類のものではないのにも関わらず、勉強のこととなると大抵のご家庭が修羅場化するのは、「不安を解消したい親」と、親の心子知らずで「テコでも勉強したくない子」の「お互いの自己主張」が激しくぶつかり合うからではないでしょうか?
これを解決するにはどうすれば良いのか。
次回に続きます。