必ず当たりに行き着くのが人生というあみだくじ。
2021年10月16日
あみだくじをご存知でしょうか?
数本の縦線の間に任意に横線を書き入れ、縦線の上から下へ縦横の順で階段状に下っていくくじですね。左右行ったり来たりしながら下っていきますから、必ずしも縦線の真下にあるお宝にストレートにたどり着けるわけではありません。むしろ予想もしなかったとんでもない場所に行き着くことが多いです。最短距離でお宝を得るのがなかなか難しいくじ。ですが、予期せぬ結果になるからこそ、この「あみだくじ」は面白いのです。
中学受験成功を願う人の多くは「最短距離でお宝をゲットしたい」のだと思います。難関中高→難関大学→一部上場企業→高額な所得→十分な退職金・年金、で人生を平穏無事に終わらせる人生を効率良く得たいのだと思います。ですが、信じていた最良コースから少しでもはみ出ようものなら、簡単に「人生終わった」と自らに敗者の烙印を押してしまう人も多いのです。そして無気力になりズルズル落ちて行くんですね。「エリートはひ弱」というのはこういうことなのでしょうね。
「若い頃の苦労は買ってでもせよ」という言葉があります。この言葉を最初に聞いた時私はとても抵抗を感じました。「は?苦労しないに越したことないじゃん」だからですね。ですが、上記にみたいに人生を簡単に捨ててしまう人の多くは「挫折知らずで生きてきた人」です。理想を追う信念は強いが、多様な生き方を考えられない。多様性がない分、生き方が限定的になり、視野が狭くなってしまい苦しんでしまう。その狭い視野から外れた人生にも宝は眠っている、しかもそのお宝は自分が望んでいたお宝の何倍もの価値があるお宝かもしれないのですが、これは若い頃から苦労したり挫折したりしたりしないと決して見つけ出せないお宝なのです。挫折経験の先にとんでもないお宝が眠っている。この事実を知ることで、先ほどの「若い頃の苦労は買ってでもせよ」がようやく腑に落ちたのです。なるほど「苦労」というのは「最強のお宝探しに欠かせない水先案内人なんだな」と。
私はこの仕事をして長いのですが、上のような「人生のしくみ」みたいなものをだいたい理解していますので、無理して「御三家目指せ」とか「東大目指せ」とか「最短で成功しろ」とか生徒さんを鼓舞したことはありません。行きたい学校に入れればいいのです。中学受験で大切なのは、成功してエリート街道ひた走りの人生を歩むことではなく、若い時期に自分のできることを精一杯やった結果、今まで見えなかった世界が見られるようになる、その体験を得ることです。一つ苦労する、一つ挫折する、一つ成功するたびに見えてくる「何か」を得るために中学受験をするのです。
神様は「人生を楽しめ」ということで我々にご褒美として生を与えていますから、人生のあみだくじは最終的には全て当たりに繋がるようにできているのです。挫折しようが紆余曲折しようが右に左にブレようが
必ずお宝につながっているのです。 そして挫折するたび、紆余曲折するたび、より素晴らしいお宝に巡り会えると信じてください。そう考えれば苦労することがむしろ楽しくなってきませんか?
私がこれに気づいたのは20年前です。この考えに沿って生活していると人生は激変します。
この考えで生きていると特に経済面で変化します。その結果、経済的にあまり心配をしなくてもいい状況になりました。ですので、「永田さんにとって仕事とは?」の問いに対しては「趣味」と答えています。仕事から収入を得る、収入を得るために働くという発想が消えかかっているからです。今では「脳を鍛えるために働く」という答え方もしています。
こういう信念に基づいた生き方をしていると不思議なもので、「大変だ」「厳しい」と思った後から、予想もしなかった方角から運が舞い降りることが多いです。「幸運は不幸の顔をしてやってくる」は事実ですが、その境地に行き着くには挫折=幸運の前兆、という原理原則を心底納得させないといけません。
人生はどの方面に行こうが必ず当たりにつながっているのに、そこに辿り着けないのは、自分の人生を信じていないからです。そういう人はくじの流れが目標のお宝から遠ざかれば遠ざかるほど、焦り、慌てて「もーやめた」と、くじを投げ捨ててしまいます。要は試合放棄ですね。しかし投げ捨ててばかりいてはお宝に辿り着くことができないのは自明の理です。私は「短気な人は成功しにくい」論者ですが、短気な人の弱さはこういうところにも出てしまうのです。
もし、自分が短気だとご自覚されている親御さんは性格を改めていただき、お子さんへの接し方も変えてみてください。
挫折しそうな子にはハッパをかけるのではなく寄り添う。
諦めそうな子には叱るのではなく励ます。
そして、「人生は必ずうまくいくもんだ」と事あるごとにお話してあげてください。
親が自分の人生を信じるように、子の人生も信じてあげてください。
どちらにせよ、人間は最終的に成功するように仕組まれていますから安心して失敗したり挫折したりしてください。