特記 参加して意味のある夏期講習にしませんか?④
2021年7月09日
続きです。
「夏期講習をきっかけに二学期から化けるのはどういう生徒ですか?」と問われると、大抵の人は「朝から晩まで勉強した生徒」と答えるでしょう。つまり「量を制した生徒が優位に立てる」ということですね。これは一理あります。ちなみに私の考えはこうです。
「夏休み」という非日常的な時間を過ごせることに意味があり、その利用法がわかった生徒が伸びる、という考えです。毎日学校に行く→帰宅後は塾→塾から帰宅後は宿題・復習という日常の流れは、学習の量を満たすという点では申し分ありません。ですが、この流れを築いているはずなのに成績はイマイチ、土日も勉強漬けなのにイマイチ、ということに疑問を持たなければいけません。この流れには欠点があるのです。
それは「自分で自分を見つめ直す時間・機会がない」ということです。これまでブログ内で何度も申し上げていますが、子どもには「誰からも干渉されず、ゲームもせず一人でぼーっと過ごす時間」が必要なのです。それを「思考停止している」「時間が勿体無い」ということで親御さんが習い事・塾通いでそれを埋めようとします、が、これがお子さんの自立・成長を妨げているのですね。「自称教育熱心な親」はそれに気づいていない。日本人は「暇は不道徳」「忙しいことこそが美徳」と考えてますが、そのせいで「生活満足度」が低い国民なんだろうなと思います。「いつもカリカリでイライラ」なのは、心にゆとりがないからですね。つまり上記の「夏休み利用法」とは「学習の量を増やす」だけではなく、「自分を見つめ直す時間も作る」という意味なのです。昔から成功者は日常生活に「瞑想」を取り入れています。
夏休みは非日常ですので、学校生活など諸々リセットできるのです。そのリセットされて浮いた時間を、ほんの少しで構いませんので「自分を見つめ直す」に費やしていだだきたいのです。例えばいつまで立っても伸びない生徒さんはこう考えてほしいのです。
同じ授業を受けている。担当講師も同じ。なのにA 君は成績が伸び、自分は伸びない、なぜか? では、どうすればいいのか?
A 君は勉強が面白くなってきたと言っている、だけど自分は面白さを感じない、なぜか? では、どうすればいいのか?
自分はお母さんに促されるまで机に向かわない、だけどA君は自分で向かうらしい、なぜか? では、どうすればいいのか?
A君は成績が伸びないと悔しいらしい、自分はそこまで悔しくない、なぜか? では、どうすればいいのか?
そもそも僕は本当に成績を上げたいのだろうか?
そもそも僕は本当に勉強したいのだろうか?
そもそも僕は本当に受験成功を熱望しているのだろうか?
そもそも自分はどうなりたいのだろうか?
など、「臭いものに蓋」でスルーしてきた自分の本性と対峙する時間を作る。それぞれの疑問に対して自分なりの解決策を模索する。そしてよくよく考えた結果「本当は受験なんかしたくない。親に強要されてきたから仕方なくやっていたんだ」という自分の正体が解ったなら受験をやめればいいのです。自分を騙す必要はないのです。しかし「受験したい。だけどサボりにサボってきた」が本当のところなら、上記にあげた疑問の一つ一つ解決するよう行動すればいいのです。夏休みに一旦自分をリセットしましょう。そこからの挽回は今からでも十分可能です。「まず自分を知る」「自分の人生哲学を持つ」ことが全てのスタートです。ここを起点とした行動は「自分の人生を自身で構築しようとする行為」となりブレることは無くなりますので、効率よく結果を残せるようになるのです。
「行動しなくてはいけないは分かっている、だけど行動しなかった、できなかった」には理由があるのです。「みんなができることが自分にはできない」にも理由があるのです。「そうなってしまった自分の弱点に気づく→暴かれた弱点解決のための工夫を考えてみる→その工夫を必ず実行に移す→実行する以上は必ず成果を出す」をシュミレーションする作業は「余裕のない日常生活」の中では難しい。それができるのは「非日常的な長期休暇」しかないのです。そこで自分を見つめる、自分の本性を知る、どうすればいいか考える、気づく、工夫する、実行する、成果を出す、という流れを築こうとした生徒は、ここから成績が一気に上がっていきます。逆に言えば、たとえ朝から晩まで学習に精を出したとしても、フワフワしたままで、自分の心・正体がわからないままでの学習は量を重ねても疑心暗鬼の累積に過ぎず、それでは定着もせず、あまり効果が生まれないのです。
自分を知り、自分はどうすればいいのか、熟考に熟考を重ねた結果、確固たる方針が決まれば、後はそれに従い一気に仕上げていけばいいのです。この作業はないがしろにできません。ブレない動機と確かな実行。この両輪あってこその飛躍なのです。
受験を目指す子にとって学習量はもちろん大事です。加えて夏休みは「自分を見つめる」ことにも時間を費やしてみてください。
自分が変わらないと、変えようとしないと先には進めない。その自分を変えるのは自分しかいないのです。
自分を変えた子が成功し、変えなかった、変えようとしなかった子は尻すぼみになる。
親が、塾が、先生が、友達が、社会が、政治が、ではない。全ての起因は自分です。自分から発生させているのです。つまり今の自分は思考してきた通り、行動してきた通りの姿なのです。
次回に続きます。