勝ち方を知らなければ受からない。⑤
2021年4月01日
本日から4月入りです。つまり来年の2月入試まで残り10ヶ月ということになります。しかし10ヶ月はあっという間に過ぎますから、まだまだ先の話、とのんびりはできません。ギリギリになって慌てるのではなく、今から逆算して「その日にやるべきことを確実に積み重ねる」という日々にしていきましょう。
続きです。
1 年少時から重ねられてきた親御さんからお子さんへの教育の質の優劣
2 塾を有効活用してきたか否か
3 空き時間をきちんと作れてきたか否か
勝てる受験にするには1〜3がどうであったか? がポイントになるというお話をしてまいりました。
本日は「家庭学習時間」をしっかり取りましょう、というお話です。上記3の空き時間を家庭学習時間にするのです。どんなに素晴らしい塾に通っていても、どんなに素晴らしい講師に巡り会えても、この「家庭学習」を無に等しくするようであれば、いかに外部環境から恩恵を受けたとしても全ては「✖️ゼロ」となります。そもそも肝心の受験当事者が家庭学習を疎かにするようなグダグダであるなら成功するはずはないという当たり前のお話なのです。受験失敗者は例外なく家庭学習を真面目に行っていません。「入試は家庭学習に費やした時間と質と意欲で決まる」。前述の1〜2以上に入試の鍵を握っているのがそこなのです。
中には「家庭学習はしっかりやっている、例えば宿題とか・・」「親がやれというから頑張って・・」という生徒さんもいると思いますが、ここで言う家庭学習とはあくまでも「自主的なもの」でなければなりません。強制されたものではなく、自分の意思で机に向い、意欲をもって計画的に学習するのでなければ、「家庭学習」にカウントしてはいけないのです。
その「自主的な家庭学習」ですが、実はほとんどの生徒ができていません。できていないから入試で苦労する生徒が多いのです。
それは「塾に通い過ぎ」から生じます。皮肉なことですが頑張って塾に通えば通うほど、成績向上から遠ざかります。塾に通う子どもの日常を見ればわかることです。
そもそも塾に行く前に学校で7時間ほど過ごしているという前提を忘れてはいけません。そこから直行で塾に向かいます。交通機関を使う生徒にとっては向かうことさえ一苦労です。そして学校で蓄積された疲労が解消されないまま、毎日のように夜遅くまで塾で授業を受ける状況を考えると「塾では終始集中していろ」と命じるのは酷だと思います。疲労困憊の中での授業では、教わったことの半分程度(半分残っていればむしろ上出来)の記憶しか残っておらず、かと言って帰宅後に復習する気力体力が残っているわけではないので、その日の勉強は終わります。塾のない日に家庭学習しようとするのですが、その時間のほとんどを塾から与えられた宿題に費やすのです。基本的に宿題は強要です。強要されたと感じている子どもは宿題を「自分の血となり肉となるありがたいもの」という捉え方をせず「早く終わらせたい」「めんどくさい」「勉強はこんなに辛いのか」という不平タラタラで宿題をこなします。ですが「仕方なくいやいやこなした宿題」が本当に身につくのでしょうか?人の脳は興味のないもの、嫌なものに対しては記憶が残らないよう作られています。つまり宿題は「やっても残らない極めて非効率な学習」(夏休みに大量の宿題をこなしたからと言って2学期の成績が急に伸びるわけではないのと同じ)と言えるのですが、こなしている本人は「頑張っている自分」を認めたいし、それを見ている親は「頑張っている我が子」に満足しているのです。宿題はやっているが成績が上がらない状況なのに・・です。授業で教わったことの半分も記憶に残っていない、宿題もイヤイヤ、だとすれば実質的な勉強はほとんどできていないということになり、このように時間・費用対効果の少ない日々を積み重ねているだけの現実なのですが、ほとんどの方はそこにメスを入れようともせず現状維持で良し、としています。
「効果がないにも関わらず現状維持」なぜそこに疑問を持たず、軌道修正のため動こうとしないのでしょう?実利を得られていないのに、「真面目に塾に通っていることが大事」「結果以上に過程・頑張りが大事」という思考停止と言いますか、本末転倒な思考のまま入試日まで過ごすとするなら、合否はどうなってしまうのか、という想像力をお持ちいただければと思います。
親御さんもお子さんもいろいろなことに疑問を持たなければならないのです。「どうして塾に通っているのに成績が上がらない?」「どうして宿題を真面目にやっているのにテストで結果が出ない?」など。そしてそれを不思議に感じるなら「どうすればいいのか?」と常日頃から考え実行しなければならないのです。
マスコミや権威者、声の大きい人の発言を盲目的に信じたり、他者の思考を先取りしそれに合わせたり、他人の顔色で自分の行動を決めたりする方が多いように思います。それは一種の自己防衛なのですが、その度合いが過ぎると結果的に自分を捨て付和雷同的な生き方をしてしまうのですが、それだと受験で成功を勝ち取ることはできません。なぜなら自分の人生を自分の考えで歩もうとしていない「安全志向」の方は、腹を括る経験に乏しくリスクを取る機会を逃し続けてきたので、肝心なところで「目の前のチャンスをものにできない勝負弱さ」が露呈してしまうからです。例えば自転車も初心者ほどコケないようにゆっくり加速しますね。でもフラフラ安定しないので逆に転びやすくなる。それと同じで「安全志向」な人ほど(逆説的ですが)ピンチを招きやすいのです。
何事に対しても自分で考え自分で工夫し自分で行動を起こす。そういうことができているお子さんなのか親御さんなのかで入試の合否は決まります。「一生は一度きり」その貴重な自分の人生を自分で構築するのは当たり前だという基本を大事にしたいですね。
次回はその「家庭学習」についてお話してまいります。