受かるのはこういうお子さんです。
2021年2月26日
「合格する生徒の特徴は?」この質問は毎年必ず1回は聞かれます。親御さんは私の答えとお子さんの現状を比較したいからだと思います。そしてそこには、もし改善すべき点があれば改善し、入試成功につなげたいという願いも感じ取れます。
「頭の良い子である」はその回答の一つですが、これでは身も蓋もありません。しかし現実はやはり「できる子」が受かりますから、そうなる過程を積み上げてきたかどうかが重視されます。「遺伝」とか「先天的な能力」もあるでしょうが、それ以上に大事なのはやはり「努力」「環境」ではないかと思います。
まず「努力」ですが、「困難に立ち向かい・・」みたいな悲壮感漂う努力では長続きしません。そもそも勉強を「困難」「苦行」だと認識している時点でダメなのです。「勉強が好き、だから努力を継続できる子」が合格する生徒の特徴の一つです。
勉強が嫌い、という人から見れば勉強好きな子は奇異に映るでしょう。ガリ勉くん?みたいに色眼鏡でみる人もいるでしょう。しかし、勉強好きな生徒の見える景色は(嫌いな生徒とのそれとは)まるで違うのです。まず知識欲と言いますか、勉強を通じて「知らなかったことがわかった」「できたことに喜びを感じる」「覚えることが好きだ」などに快感を得ている当事者は無理して学習している意識はないので、見える景色はバラ色に近いのです。ゲームが好き、スマホいじりが好きと同じレベルで「勉強を好きでやっている」のです。好きでやってますから長続きする。そういう子に「努力しているね」と褒めても本人はピンとこないはずです。だけど褒めてもらえること自体は嬉しく、承認欲求も満たされますので、ますます調子に乗って学習していくのです。「悲壮感のない努力」が大事ですね。
次ですが、「勉強は楽しいからする」=「悲壮感のない努力を重ねる」になるもならないも「環境」次第です。ご存知かと思いますが、灘、麻布、JGなどの上位校は私服通学です。校則もほとんどありません。これは甘いのではなく、子どもの自主性を重んじている=子どもを信じている、からです。自由に振舞いつつも自分に規律を課すというバランス、そういう自主自立を重んじているのですね。反面、そうでない学校は髪の毛の長さ一つにも厳しい規則を課しています。生徒を信じていない、ほっておいたら何をしでかすかわからない連中、と思っているからです。
「家庭環境」はどうでしょう。ご家庭でもそういう「締めつけ学校」と同じことやっていませんか?「勉強しないと叱る」「宿題が終わるまで遊びに行ってはいけません」みたいに、学習すること=罰ゲームにしてしまっているご家庭ですね。罰ゲームを進んで喜んでする子がいるのかな?と疑問に思った方がいいと思います。これはお子さんの自主自立を信じていないからです。親から信じてもらえない子が進んで喜んで勉強するのかな?これも疑問に思ったほうがいですね。
親は不安なのです。勉強しない子が。勉強しない子が将来どうなってしまうのか不安で不安で、その解消のために厳しくしたり、学習を強制したりするのです。だけどされる側はたまったものではありません。親の不安が子の学習意欲を遠ざけ、重圧逃避のためゲーム、スマホに向かわせる要因となっているのです。
親御さんは「我が子を信じる」という勇気と言いますか、自信を持った方がいいです。うちの子も大学生ですが、 幼少期より親子喧嘩は皆無に等しいです。基本何をするのも自由だからです。お互いの自由を尊重すると諍いが起こることはありません。お子さんに構い過ぎる過干渉の親御さんは子に失敗させたくないから予防線を張りまくるのですが、失敗を恐れすぎです。別に失敗してもいいのです。なぜなら失敗からは必ず何か得られる=少し遠回りの成功になるが、それを得るための糧になる、からです。その発想が大事。「成功は良し、失敗も良し」というおおらかさをご家庭ではお持ちください。家庭はマイナス査定重視の会社ではありません。なのに親が上司、子が部下という関係を持ち込む家が多いです。これでは誰もリラックスできません。「親から信頼を得た子が自主的に学習していく」これが合格する生徒の特徴の二つ目です。
「家庭環境」の次は「学習環境」です。もともと子どもは知識欲があります。わかることは楽しい、逆にわからないと急につまらなくなります。自分で工夫し粘って理解しようとしても、どうしてもわからないものは質問すればいいのです。それで解決すれば学習の面白さ=知識欲は継続されますが、問題は「受けた質問をわかりやすく返す力が大人(親・学校の先生・塾の講師)に備わっているか、です。「こんなこともわからないのか」と怒声を浴びせたり、「ダメだな君は」と自尊心を傷つけたり、そもそもわかりやすく説明する能力に欠けていたり、そういう大人が相手ではお子さんは勉強が嫌になっていきます。どういう大人に関わったか=学習環境が良かったか、でも諸々左右されます。要するに当たり外れがあるとお子さんの人生に影響が出てしまうということですね。大人はその点に細心の注意を払うべきです。
大人から適切且つ丁寧な指示を受けたなら、生徒さんはそれを最大限に吸収し、活かすことが大事です。合格する子の三つ目の特徴は「素直で真面目である」です。自分の足りないことを自覚し、スポンジのごとく吸収していく。そして活用する。算数のプロ講師に教わったなら、その思考方法を自分の脳に刻み込もうとする素直さが大事です。間違っているのに頑なに自己流を貫こうとする人は進歩しません。
「努力」「家庭環境」「学習環境」が満たされた条件で、「自主的に学習する素直で真面目な子」が受かるということですね。そういう子にするもしないも親次第、周りの大人次第だということです。
当たり前の話です、が、なかなかそうならないのが現実ですね。ですが、その現実に近づいていくことは大事です。