過去問からのメッセージを「見る」「感じる」。
2020年11月20日
2月入試まで75日を切りました。もし総復習が完了間近であれば、家庭学習のメインは過去問対策に移っているはずです。
一方で、重要度を薄めていただきたいのは大手塾主催の模試の結果です。もう参考程度で十分です。塾内クラスも現状維持でOK。模試の問題は万人向けで、それぞれに特徴を持つ志望校の問題傾向に必ずしもフイットしているわけではないからです。極端な話、第一志望校の国語の問題が記述オンリーなのに、この時期に模試対策をして選択問題に力を注ぐのは時間の無駄遣いなのです。
志望校合格を考えるなら、過去問でどれくらい取れるかが大事なのです。「模試に強いが過去問に弱いタイプ」と「模試は弱いが過去問に強いタイプ」がいるとすれば、明らかに後者の方が合格率は高いです。また、志望校をどこにするか決めかねているときは、過去問との相性で探ってみてください。その場合、偏差値はあまり参考にしなくても大丈夫です。また同レベルなら、例えば大学入試でも早慶の問題傾向はまるで違いますので、やはり「過去問と相性の合う学校」を優先し受験するのがベターですね。
さて、過去問をどの時期からどのくらいやればいいのか?というお問い合わせをいただくことが多いです。そのときは「なるべく早く、なるべく多く」とお伝えしています。当塾では早い子で9月末からスタートします。中には「準備が整ってから」と慎重になる方もいますが、ズルズル先送りしてしまうと過去問をスタートさせるタイミングを大幅に遅らせることになり、計画が頓挫してしまう可能性があります。計画とは「問題傾向が極端に変わっていないという条件付きでの、第一志望校10年分の過去問を年内に解き終える」です。第2志望校以下であれば3〜5年分でいいと思います。過去問に限っては「拙速」の方が有利です。そして「解きながら覚える」「間違えたら直す」の繰り返しの中で知らず知らずのうちに、その学校の問題の特徴・傾向を体得していく、という流れを築いていきましょう。
平日のメインが総復習なら、土日家庭学習のメインは過去問対策です。そのときは「四教科を実際の入試時間通りに解く」が肝要です。朝イチでやる国語と午後から始める国語とでは頭の回転の差により結果が異なることがあります。また、四教科を連続でこなすことで自分の体力と集中力の程度を知ることもできます。本番に近い環境下での「家庭内受験」することで、どのくらい力が発揮できるか、自分の足りないところは何なのか?などいろいろ見えてきます。それらをどう克服するか?単純に「できなかったからダメ」ではなく、「ダメにしないためにはどうすればいい?」の研究に充てるのが過去問演習の意義なのです。
過去問を始めるとどうしても気になるのが「合格最低ラインを超えるか超えないか」です。それに対していちいち一喜一憂するご家庭もありますが、この時期はそう簡単に越えられるものではありません。傾向分析の不足、学習・知識の不足、経験量の足りなさからくる工夫の不足、幼さゆえの体力集中力の不足、など諸々の要因がまだまだあるからです。
生徒さんにお伝えしているのは「まずは受験者平均ライン、次にそれの1〜2割超え」です。調べれてみればばわかるのですが、受験者平均点と合格最低点の間の点差はそんなにありません。めちゃできる生徒が受かり、めちゃできない生徒が受からない以外は団子状態で混沌としているのが入試の現実なのです。要は10点差くらいで勝負は決まるのです。ですから今は受験者平均が60点なら、年末には1〜2割増しの70点程度が取れればいいのです。10点差を埋めること
は、難問奇問が解けなければ、というより、漢字語句、計算問題、理社の暗記物など「努力すれば誰でも得点できる分野」で失点せず、それらを細かく積み重ねさえすれば十分可能なのです。逆に言えばこういう地道な作業をめんどくさがったり、疎かにしたり、1点をバカにしたりする生徒が落ちるのです。しかもできない子に限ってその傾向にある。大事な入試なのに心を込めることなく字や数字を雑に書いてしまうような子、誤字脱字を平気で繰り返すような慎重さに欠ける子も同様ですね。粘りのない子、諦めの早い子、投げやりで集中力のない子、野心・執着心のない子もそう。 中学入試だけの話ではなく、生き方が真面目じゃない子(大人も含め)は基本何をやってもダメなのです。
三つ子の魂なんとかで、人生においても失敗ばかりしている大人・地を這うような生き方しかできない大人は例外なくこのようなタイプです。
入試までの過程とその結果は「今後のその人の人生を占う縮図」に近しいものがあります。
結局「入試は頭脳勝負ではなく、人間力勝負なのだなあ」「何事にも真摯に向き合える子を受験の神様は応援し救うのだなあ」とつくづく感じてしまうのです。