算数の勉強法。④
2018年9月18日
※ 今月16日に四谷合判テストが行われました。国語は少し難、その他は標準という印象でした。
続きです。
当塾は個別指導です。個別ですので生徒の動きは逐一わかります。
さて、生徒を横に置いた授業をしていて毎回思うことがあります。それは、「できない生徒ほど手を動かさない」ということです。算数でも国語でも理科でも問題をじっと見ているだけ。設問を穴の開くほどじっと見つめていればそこから「ひらめき」や「思いがけない発想」が浮かんでくる、とでも思っているのでしょうか?
前回も申し上げましたが算数は国語と同じ論理的思考で解く科目です。つまり、筋道を立てて思考を展開させ、結論に辿り着く作業を求める科目なのです。筋道を立てて思考するには前後の因果関係をきちんと掴み、それを可視化させることで理解度をより深めていくことが必要です。それにはつまり「図を描くこと」が有効なのです。
例えば「1.8キロ離れた家と学校の間を太郎君が分速〇メートルで・・」という文章題であれば、まずダイヤグラムを用い、家・学校・1.8キロ・分速〇メートルなどそれぞれのキーワードを「出てきた順に素直にそのままを描いていく」作業を行うのです。そして図案化された諸条件を俯瞰しながら状況の的確な把握に努めるのです。
図形問題もそうです。よく補助線が引けない、という生徒がいますが、引いたとしても「全く見当違いの線」を引きます。こういう生徒に欠けているのは「そもそも補助線は自分を有利にするためのもの」という視点・理屈です。例えば「図形の比」と言えば「二子山」「クロス」「ピラミッド」(知らない人はごめんなさい)ですが、その形に持ち込めれば解けるはず、未完成図に線を加えその形にしていく、こうやって自分に有利な展開に持ち込むのが「補助線」を引く目的なのです。
このように有効な「図にする作業」ですが、しかし、いくら促しても描こうとしない子がいます。「どうして手を動かそうとしないの?描くのがめんどくさいから?描けないから?シャーペンの芯を節約したいから?まさか「閃きで一発で解けるカッコいい俺」を目指しているとか?」と聞くと「描けないから」と答えます。しかし、私は生徒さんに絵心が必要だとか、お絵かき教室レベルの絵を描けとか、そういうことを求めているのではありません。「素直に描きましょう」というだけなのです。絵描き歌に従って絵を描くように、問題で出てきたキーワードを順に素直に描いていくイメージでいいのです。(ここから言えることは「できないのに講師の指示に従わない・そのように実行しない素直さに欠けた頑固な子」というのが一番受験に向かないということです)
また、理科の(特に水溶液・物の燃焼などの計算問題)が苦手な生徒も似たような傾向にあります。国語のできない子もそう。基本的に中学受験の科目のほとんどが論理的思考で解けますので、それなら手を動かしながらの思考をすべきなのです。頭の中での思考だけでもいいのですが、それを可視化させることでより鮮明に、より答えを導きやすくなるのであればそうすべきなのです。手だけでなく、毛穴まで使って解く・全身を使って解くというイメージなのが受験勉強です。そういう意味でこれはスポーツに近いものがあります。
「自分に有利な展開になることを積極的に行う」、これは言い換えれば「どうしても合格したい」という意欲の表れでもあります。ですから図を描くことを億劫がる生徒は合格への意欲が薄いのかな・・合格するよりも面倒くささを避ける方を優先する気かな・・と思います。しかし、このような合格への意欲が薄い生徒・必要な学習から逃げたり面倒くさがったりする生徒さんは(意欲の強い子に負けますので)申し訳ないが(必然的に)受かりませんね。
勉強すること、(今回お話ししたように)論理的思考をすること・それを図案化すること、これらは「自分を有利にすること」につながります。確かにこういう作業は面倒かもしれません、ですがこの面倒な作業が結局は自分をより良くしてくれるのです。
何事も「短気は損気」「急がば回れ」ですね。
次回に続きます。