算数の勉強法。③
2018年9月03日
続きです。
算数が苦手だ、できないというお子さんの多くは「自分は理系でないから」と思い込んでいるようです。また、本人だけでなく親御さんの中にも「私も算数が苦手だったから」「パソコンの操作が苦手だから」と、「親の私が理系ではないから、きっと遺伝で子供にも・・」みたいに考える方が意外と多く、親がそのように思い込んでいるから、お子さんにもそれが伝わってしまうのかな?と感じたりします。しかし、そもそも小学生が扱う算数は本当に「理系科目」なのでしょうか?
私も大手塾の算数の講師を何名か知っていますが、不思議と大学時代は文学部・法学部・経済学部出身の方が多く、一方「バリバリの理系学部」出身の方は意外に少なく、しかも(わかりやすい授業をするという点で)人気のある講師・上位校担当講師は前者であることが多いのです。このことからも算数が本当に「理系科目」なのか?と感じてしまうのです。
私は「小学生が習う算数は文系科目である」と考えています。つまり国語と同類だということです。国語と同類だということは、元々この両科目間の親和性は高く、ゆえに思考方法が同じであろうという点で、国語の講師が算数を教えるのはそれほど難儀なことではない、むしろ教えやすい科目だと思えるのです。その点は生徒さんも同様で、ですから「国語得意、だけど算数が苦手」というお子さんには「国語ができるということは算数もできるということなんだよ」という話をし、自信を持たせるようにしています。
文系科目(国語)が得意な生徒は論理的思考に秀でています。「こうだからこう、こうだからこう、よって答えはこう」みたいな思考ですね。ですが「ん?これって算数の証明問題の手順じゃん」と気づいた方は「算数と国語は思考方法が同じ」ということにも気づかれると思います。
この両科目に共通しているのは「まず、答えありき」です。つまりゴールはすでに設定されていますので、いかに矛盾なく、いかに効率的かつ合理的にそこにたどり着くか、その手順を求められているのだ、と考えたとき、論理的思考能力に優れた生徒がその答えを得やすいのです。
逆に本当の「理系の頭」とは「まず、答えありき」でなく、「ゼロから答えをから作り出す」能力のことです。初期の段階では論理的思考がベースですが、それ以降は「ある種のひらめき」が大事になります。
しかし、「文系科目である算数」に「ひらめき」は必要ありません。答えはすでに決まっており、改めて答えを作り出すことを求める科目ではないからです。一見、ひらめきで解けたように思える問題も、実は過去の経験が顕在化して、あたかも「ひらめき」で解けたと錯覚しているに過ぎないのです。
バリバリの理系の人が小学生の算数を教えるときにご注意いただきたいのは「自分のひらめきを生徒に押し付けない」ということです。こどもは納得できる説明(論理的な説明)を「わかりやすい授業」として受け入れます。かつて選手時代に動物的勘で活躍した方が監督になって打撃指導したとき「バットをこうやってバーンとボールにぶつければ、ブーンと飛んでいく、わかった?」みたいに擬態語擬声語を多用したという話を聞いたことがありますが、それでは聞き手にはチンプンカンプンです。「あの先生はいきなり聞いたことがない数字を出してきて、こうだからこう、分かった?!を強引に進め、且つ早口大声でそれを強要する」と思われたら、講師としては失格なのです。その尻ぬぐいをするのがここ数年の永田の役割になりつつあります。(算国の指導比が7:3になってるのもその表れ)ですので、その点はよろしくお願いします(笑)。(必要以上の大声・早口・怒鳴る・授業時間の半分はウケ狙い、などは自分の指導力の無さをごまかしたり力づくで納得させようとしたりする表れですので、その傾向が見受けられる講師は二流だと思って間違いありません)
次回に続きます。