中学受験は個別指導で成績伸び率の差が出る！！

　８月に入り、はや１週間が経とうとしています。今年は例年にない猛暑に見舞われましたね。これは「無駄な外出を控え、受験生は自宅で勉強していなさい」という「受験の神様」からの啓示（？）かもしれません。「猛暑ありがたや、お蔭で家に籠もって充実した受験勉強ができる」とプラス思考で考えましょう。そうでないとやってられませんから（笑）。

　さて、先日お話した「分かった」と「理解した」との間にある差、「理解した」と「使いこなせるようになった」との間にある差。この差を埋めるには何が必要でしょうか？

　見習いコックを例に考えてみましょう。キャベツの千切りには包丁が必要、これは分かりますね。先輩の実技を見て、どうやって切ればいいのかも概ね理解できました。ですが、それだけで包丁を巧みに使いこなし、見事な千切りを披露することは可能でしょうか？また、急遽ニンジンの乱切りを要望されても即座に対処することは可能でしょうか？答えは当然ながら「否」。では、何が欠けているか？それは経験ですね。住み込みで働いている新人は店が閉まったあと、夜中に黙々と練習に励む。しかも毎日毎日。よく聞く話です。

　つまり、包丁を自由自在に使いこなすためには長時間の練習が不可欠なのです。しかし、その時間帯は先輩たちも寝ているはずなので、誰にも頼れず、自分一人だけの孤独な作業となります。アドバイスを受けられないので効率の悪い練習となるでしょう、同じミスを何度も繰り返すことにもなるでしょう。しかし、腐ることなくこの試行錯誤を繰り返しているうちに自分に合ったスタイルが構築されたり、工夫する芽が生まれたりするのです。まさに「習うより慣れろ」ですね。ですから、突然ニンジンの乱切りをリクエストされても包丁のしくみ、切る対象物の形状の知識などが長時間の体験の中で刷り込まれていれば冷静に対応できるようになるのです。

　エジソンもそうですね。一つの発明は何千という失敗、膨大な時間から生まれたのです。もし、彼が途中で投げ出したり、誰かが「早く、早く」と急かしていたら偉大な発明は日の目を見ることはなかったでしょう。そして、発明からの派生品もこの世に存在することはなかったでしょう。

　よく、理系科目をパターンで覚えようとする生徒がいます。算数で言えば食塩水が出てくれば「濃度算」、電車が出てくれば「通過算」、入場券売り場が出てくれば「ニュートン算」というように、どの問題集にもあるようなパターンに従って反射的に解こうとします。

　パターンで解こうとする工夫自体はＯＫです。しかし、このやり方一辺倒では少し問いかけの切り口が変わってしまうと、「あっ、これは初見の問題だから無理だ」と匙を投げてしまうことになりかねません。これは「千切りは大丈夫だけど、乱切りは初めてだから無理だ」と言っているようなものです。同じ包丁を使ってやる作業なのだから「～切りはできても～切りはできない」などということはありえないのです。これは包丁のしくみがわかっていないコックの言い分なのです。

　算数も同様。パターンで解こうとする生徒は算数のしくみが十分理解できていないから応用問題が解けないのです。しくみを知るには時間が必要。ですから時間がたっぷりとれるこの夏休みがビッグチャンスなのだと毎回口を酸っぱくして申し上げているのです。

　例えば算数のつるかめ算が苦手な生徒はまず基本問題を１問だけ解いてみる。時間無制限で自分一人の力だけで考え解いてみる（このとき親は口出し厳禁です）。生徒はこの時間を「無駄な時間」と考えたりしないこと（当然親も）、雑念は一切無用です。ひたすら問題と対話し、出題者の意図を探ってください。

　どうしてもできないときは「解答」を見ましょう。そして、「どうしてこのやり方で解けるのか」を検証してみましょう。これも時間に囚われることはありません。納得できるまで「しくみ」を体得しましょう。そして、納得できたならその方法で何問か試してみる。試してうまくいったら終了です。

　こんな作業をしているとあっという間に４時間ぐらいは経過してしまいます。ですがそれは許容範囲。これで構わないのです、そのための夏休みですから。

　夏休みは長い時間塾に拘束されているからいいのではありません。このように一つのことにじっくり向き合える時間が確保できるから貴重なのです。

　慌てず、焦らず、「真の理解」を得ることを最重視した夏休みにしてください。