特記 夏期講習に参加したのになぜ成果が出ないのか?その理由について。
2017年7月05日
そろそろ夏休みが始まりますね。夏休みと言えば受験生にとっては「天王山」。その天王山を制すべく生徒さんのほとんどが夏期講習に参加すると思います。しかし、「夏期講習に参加したのに秋以降ちっとも成績が上がらなかった」「上がるどころかむしろ下がってしまった」と、あまり芳しくない結果に終わってしまうことが多いようです。「毎日のように講習に参加し、朝から晩まで授業を受け、多額の授業料も払った」なら、成果が出て当たり前のはず。親も子もそれを期待しての受講だったと思いますが、全く時間対費用対効果のない結果に終わってしまうことが多い。こんなことになるくらいだったら夏の間はひたすら遊んでいた方がよほどマシだった、という話になります。
さて、親御さんに質問します。何年も塾のレギュラー授業に通ってきた間、お子さんは節目節目のテストで結果を出し、クラスを昇格させてきましたか?「はい、そうでした」なら講習に参加しても意味があります。「いいえ、クラスは常に現状維持です」「いいえ、むしろ下がりました、底辺安住です」なら講習に参加する意味はありません。これは日頃から授業を活用してこなかった結果です。そうしてこなかった子が夏休みに限って急に意識が芽生える・奇跡が起こる、なんてことはありません。どんなに長時間拘束されても、どんなに課題を与えられても塾を活用できない子には講習に参加する意味はない。逆に拘束時間が長くなればなるほど、課題が増えれば増えるほど燃える・・のではなく、萎えてしまうのがこういう生徒さんです。塾側が「良かれ」と思ってやっていることが、ますます生徒のやる気を失わせることになる。もう「参加することに意義があるだけの講習」「お客さんの如く座っていればいいだけの講習」「保険・安心料としてだけの講習」になってします。
本来は「中学受験する目的は理解している。だから意欲がありやる気もある、しかし合格する術は知らない。自分一人の力だけでは効率良く学習する自信がないので、そのためのノウハウを教わりたい」という理由で塾に通うのが筋なのです。しかし、塾を活用していない生徒の大半は塾を「やる気を促してくれる場所」「自分を励ましてくれる場所」だと勘違いしています。親からして「学習意欲を高めてください」「宿題をやらせてください」「やる気を育ててください」「手取り足取り面倒見てください。そうしないと動かないのです」と全く見当違いの要望を出してきます。つまり、受験する当事者自身に入試を成功させたいという気持ちがない、本気度の低い人間が塾を活用しようという考えに至らないのは当然のことなのです。活用しないから「下位クラス安住」なのです。しかもそれでいいと思っている。
塾は上記のような要望に応える場ではありません。そもそも「やる気」などというものは、受験する者が初めから持っていてしかるべきものなのです。いわばそれが「受験するための大前提」。それなのに「やる気にさせてください」と依頼する親、「やる気にさせます」と安請け合いする塾。どちらもおかしい、本末転倒なのです。例えば偉大な打者イチローが「野球をやりたくなるような選手に僕を育ててください、やる気を与えてください」などとコーチに泣きつくことがあるでしょうか?それくらいおかしな話なのです。
こういう勘違いをしたままで塾通いさせる親は子どもの成績が伸びないと、これまた見当違いなことを言います。「それは講師の指導が悪いからだ」「子どもをワクワクさせるような面白い授業をしないからだ」と。基本的に世間から認知されているような塾にはそんなに下手な指導をする講師はいないのです(大手塾は採用試験・水準・条件ががそれなりに厳しいので)。中には「面白い授業=子どもウケを狙った講師の素人漫談」と勘違いし、貴重な時間をそれに費やす未熟者もいますが、成績が伸びない一番の理由は「肝心要のやる気を喪失している聞き手・受け手である生徒自身」なのです。同じ講師から同じ授業を受けているにも関わらず、昇格する生徒・降格する生徒と差が生じるのは、ひとえに「聞き手・受け手」の資質・受験に対する考え方・意欲の差に因る、と考えるのが自然なのです。
集団塾では講師がいちいち生徒個人個人に関わることはしません。真剣に聞く生徒はそのように、ボーっとしている生徒はそのままに、基本的に放置です。「授業を聞いている」ことを前提に淡々と授業していきますので、それについて行けるか行けないかはあくまで生徒個人の問題であるという姿勢です。「高い授業料を払って講習に参加するくらいだから、当然真面目に授業を受けるはずだろう」という性善説に立った授業なのです。
しかし、年中親御さんから「勉強しなさい」「やる気を出しなさい」と叱られている子は、塾の意図することとは程遠く、塾を格好の逃げ場・隠れ蓑にしてしまいます。毎日通塾していれば親は安心する、教室に入りおとなしく座ってさえいれば講師に叱られることはない。塾では(学校でも)「おとなしい子=教室の空気を乱さない子=人畜無害な子=真面目な子」と評価してくれるからです。無気力な子にとってこんな好都合なシェルターはありません。ですが、当然結果は出ない。すると親御さんは「真面目に講習を受けたのに成果が出ない、先生の教え方が悪いと思うので転塾します」と秋以降「青い鳥探し」を繰り返すのです。こういう親御さんがすべきことは「我が子の受講姿勢」に気づくことです。「青い鳥はお子さんの心の中にある、埋もれているそれを見つけ出すことの重要さ」そこに気付くこと。
ちなみに当方のような個別塾には「ボーっとしている時間」はありません。隣に監視している講師がいるからです(笑)。当然隠れ蓑にも逃げ場にもなりません。 今年の夏も当塾は授業フル回転状態なのですが、それは「集団での講習で成果が出ない」ことに危うさを感じる方が、起死回生を求めてくるからです。
しかし悪いのは集団塾ではありません。集団塾の先生方も生徒のことをよく考え一生懸命指導しています。私も大手塾の出身なのでそのあたりのことはよくわかっています。
(私は本当のことしか言いたくないので本当のことを言いますが)成績が伸びない理由を作っているのは「勉強しない」「やる気のない」「自主性の無い」生徒の側です。一から十まで全ては生徒自身の問題。受かるも落ちるも生徒の問題。そこに気付きそこを改善しない限り何をやっても意味がありません。
そこをどうするか?そのためのアドバイスを今後もブログを通してご説明してまいります。
宜しくお願いいたします。