「国語の学習法」 設問のとらえ方。②
2010年6月09日
先日は「文章の読解力を身につけることは国語の学力向上に不可欠であることは言うまでもないが、それ以上に設問に対する読解力の有無が国語の成績に影響を及ぼす」というお話をいたしました。
文章の読解能力自体が皆無であるという生徒はいません。確かに途中で分からない言葉や言い回しが出てきて、そこで躓いてしまうことがあるにしても、だいたいの生徒は70%程度の理解はできています。これで十分です。不安になることはありません。
問題は文章を読む段階で完璧に理解できなかったことを苦にし、そこで自信を失ってしまい、気もそぞろな状態で設問を読んでしまうことです。集中力を欠いたままで設問を読むことは避けてください。ここをおざなりにすると、せっかく時間をかけ一生懸命文章を読んだことが水泡に帰してしまいます。
今回のテーマである「設問のとらえ方」。この重要性をもう一度確認しておきましょう。
A君 「君の好きな食べ物は何?」 B君 「明日は遠足だね」
日常でこのような会話はありえませんね。しかし、国語では何故かこれと似た「トンチンカンな誤答」を見かけることが多いのです。
それはおそらく、言葉による問いかけと、文章での問いかけを別物としてとらえてしまっているからではないでしょうか?「君の好きな食べ物は何?」という何気ない言葉による問いかけが、「君の好きな食べ物は何ですか?15字程度で答えなさい」と、いかにも改まった形での文章の問いかけに変化すると「普通に答えちゃいけないのかな?何か難しいことを問われているのかな?」と急に構えて不安になり、そのパニック状態の中で「普段だったらやらないであろうありえない返答」を記述してしまうのです。
中学受験レベルの国語で求められているのは「大人顔負けの高尚な記述力」ではありません。「きかれた通りのことに素直に答える能力」なのです。ですが「能力」などというおおげさなものではありませんね。だって、いつもの友だちや家族との会話ではそれができているのですから。そのままに答えればいいだけのことなのです。
「何をきかれているかを的確につかむ。それに沿ってきかれた通りに答える」。 この当たり前すぎる国語の基本中の基本。しかし、受験生がそこを最も軽視してしまっているのも事実。皆さん、もう少し設問に対し神経を傾けてみては如何ですか?
効果的な方法をお教えしましょう。まず、設問を音読し、その音を自分の耳で聞き、あたかも第三者から話しかけられているようなシチュエーションをつくってみる。次に、その問いかけに対する答えも口に出して言ってみる。そしてその内容を言葉通りに文字に著す。更に、文章の構成を考え多少のアレンジを加えていく。これで概ね記述は完成します。あとは慣れることです。何度も練習を重ねれば上達しますし、コツも覚えていきます。
リラックスしてください。緊張して頭が鈍るとありえないことを平気で行ってしまいます。これは他の教科(特に算数)にもあてはまることですよね。
本日は「設問のとらえ方」というより、それ以前の心構えについて話が集中してしまいました。テクニカル面での説明は次回以降となります。