算数のお話。➄
2016年9月20日
続きです。
「学習経験量の多さがひらめきを豊富にする」というお話をしてまいりましたが、経験量は同時に「既視感」も豊富にします。この既視感が大事なのです。算数ができる子は「生まれ持っての理系体質」だから解けるのではなく、何度も何度も同じ問題を見てきた結果、能力で「解けるか解けないか」と言うより、「これ、見たことあるから知っている」「何回も見ているから解き方を知っている」、この「解き方を知っているか知らないかの比が9:1」だから高得点を挙げることができるのです。ですから(他教科もそうなのですが)特に算数は毎日繰り返し学習しないと得点力がUPしないと言われる所以はそこにあるのです。「できる」「解ける」など自力で何とかするというより、「知ってる」「分かっている」から瞬時に答えが出せる、いう域に達すれば(よほどのケアレスミスをしない限り)算数は安定したものになっていきます。理科の物理・化学系の問題も同じですね。
さて、前回の話「親御さんの諸々の不安が早期教育に飛びつかせる」「自分に自信がない親ほどそうする傾向にある」というお話をしましたが、早期教育を受けてきた子どもは「勉強はやらされてやるものだ」「親に逆らう訳には行かないので(勉強は)イヤイヤでやるものだ」が染みついていますので、自分から自主的に学習することはありません。上記の「経験量を増やせば算数の成績は上がる」は 「嬉々として自分から取り組む」という条件付きですので、いくら宿題の量が多くても自分から好き好んでやるわけでなく、過去の早期教育の蓄積・弊害で子どもの脳と体はヘトヘトで・・ですと、(経験量の割には)定着しない。当然既視感なども感じ取れません。これでは「徒労」でしかありません。しかし、親は「まだまだ宿題・勉強量が少ない」と勘違いし、子どもにますます無理をさせます。そうするとお子さんはストレスからますます意固地になり反抗抵抗し・・・という流れ。
もういい加減気づけば?いつまで続ける?と言いたくなります。
ところで、私が自分の子を中学受験させたときはもう「ほったらかし」でした。好きなだけ寝させ、好きなだけテレビも見させ、まあ、何一つ制限しませんでしたね。勉強のことで叱ったことは2年間の受験準備期間で5回もなかったと思います。それで第一・第二志望校に受かり、2勝0敗の結果だったわけですから、我が子はたぶん「日本一ストレスの少ない受験生」の一人だったのではないでしょうか(笑)。
好きなことをさせたり遊ばせたりしておくと子どもは勉強しないのではないか・・という不安。それはありませんでした。なぜなら子どもを信じていたから、そして人というのは心ゆくまで好きなことをさせてもらえれば、その反動で自主的に学習する、自分の意志で明暗・陰陽のバランスを取っていく動物であるということを知っているからです。「好きなことをさせたり遊ばせたりしておくと勉強しない」というのは、取りも直さず親自身が子ども時代そうであったからです。子どもは親の「映し鏡」だからです。
しかし、「放任主義で成功する」ためには幼少期から計画的な子育てをしないと、付け焼刃ではうまくいきません。
その詳細につきましては次回とさせていただきます。