なぜ国語ができないのか?④
2016年7月04日
続きです。
ここまで読めばお気づきいただけたかと思いますが、国語はセンスで解く科目ではありません。むしろその対極にあります。識字率ほぼ100%の日本で、なぜわざわざ日本語=国語の試験を行う必要があるのか?主催者側の意図を正しく読み取らないと国語で成功することは不可能です。
受験者の「迅速且つ正確に物事を捉えたうえで、論理的で客観的な思考を基に的確に受信発信する能力の有無・程度を見たい」が意図であり、「受験科目としての国語」はそれを知るための媒体だとお考えください。「感情豊かな子どもであるか」「将来、文豪を目指せる力があるか」を見たいテストではないのです。
国語で点が取れないのは、主催者側が意図する上記と真逆なことをしているからです。つまり「物事を大雑把に捉え、感情や情緒に任せた思考で受信発信をするから」です。国語が苦手な生徒は、男女・年の長幼を問わず、「集中力がなく、短気で、雑で、独善的で、視野が狭くて」というタイプが多いです。男の子で国語が苦手な生徒が多いのは、彼らの能力云々というより、男の子特有の上記の性格が災いしているからです。
では、どうすれば良いのか?国語で点を取る心構えは概ね御理解いただけたと思います。そうです、「丁寧に正確に」です。
まずは「文章の読み」でそれを試みてください。しかし、そう言うとこのように反論されます。「丁寧に正確に読むと時間がかかってしまう」「読みの段階で時間がかかると肝心の問題を解く時間が無くなる。それでいつも失敗する。これでは本末転倒ではないか」と。
私も長年いろいろな生徒を見てきましたが、その中で国語で突出した成績を残したUさんとKさん(共に桜蔭中進学)には共通点がありました。それは「誰よりもゆっくり読み、誰よりも素早く解く」です。こういう生徒さんは2~3秒程度で選択問題の正答をゲットしていきます。反面、国語で点が取れない生徒さんは「ゆっくり解く」という特徴があります。国語ができない生徒ほど「時間がない時間がない」と言いますが、それは「読みに時間がかかるというより、解くのに時間がかかるから」です。では、なぜ時間がかかるのか?それは、文章の情報吸収力が悪く、それを補うべく推測で解こうとするから。その「あーでもない、こーでもない」と推測し迷う時間が「意味のないロスタイム」になってしまうからです。
「急がば回れ」という言葉があります。時間をかけ文章を丁寧に読むことが→「正確な情報を確実に入手できる」につながり→結果的に迷うことなく答えを瞬時に導き出せる、になるのです。
しかし、短気な生徒はその理屈がわからず、急いで読もうとする→焦りから必然的に雑な読み方・集中力に欠けた読み方になる→得るべき得られるべき情報が漏れ放題になる→仕方なく勘に頼る→迷いに迷って答えを導き出す→時間がかかった割に自分の出した答えの精度に自信が持てない→予想通りペケをもらう、となります。「急いては事を仕損じる」の典型的な例ですね。
次回は読み方についてお話しします。国語は「読み」で決まります。