「何のために受験するの?」。⑦
2010年5月04日
先日も申し上げた通り、塾に通っていない「普通の6年生」にもたらされるものは、
①「学習習慣が身についていないことによる勉強アレルギー、それによる圧倒的な知識量の不足」
②「無目的に無為の日々を過ごしていることによる喪失感、その穴埋めとしてのゲーム・テレビへの逃避」
③「親の放任による①②の容認」 です。
※ ①②③が「負のスパイラル」となり、継続していく「危険性」についてはこれまで述べてきましたので割愛させていただきます。
「友だちが中学受験するから自分もやりたい」と、それがきっかけで(少し軽いノリで)受験勉強を始めた「普通の6年生」のほとんどは授業初日から「自分の知識量が如何に少なかったか、他の友だちは自分の知らなかったこんなことまで知っていたんだ、自分は今まで何をやってきたのだろう?」と、その現実・別世界見せつけられショックを受けます。しかし、そこで、挫折する生徒はいません。「じゃあ、やってやろうじゃないか!」と新たな決意に燃えます。(この時点で上記の①②に巻き込まれるリスクを子供自身が本能的に感じたからでしょう)
ですから意欲が高い分、先日申し上げた通り「6年生入塾組」は成績の伸び率が高いのです。「友だちに追いつかなくてはという焦り」「未知な部分を習得できるうれしさ・達成感」「自分は頑張っているんだという自信・存在意義の実感」。つまり、彼らには「やらされている」という感覚がないのです。すべて自分の意志です。その点が、年少時から何のために塾に通っているのかわからず、通うこと・通わせること自体が目的となってしまった「ダラダラ勉強組」との決定的な違いです。(当塾が4年生以下のお子さんの入塾をお断りしているのもその理由です)
※ お子さんがノリノリで学習しているときご父兄は、「少し休んだら」とか「勉強大変だね」などと「子供におもねった妙な優しさ」は示さないでください。「よく頑張っているね」の一言で十分です。
1年間の頑張りで、長年塾通いをしてきた友だちと遜色のないレベルにまで到達し、そのまま中学受験成功を勝ち取ると「普通の6年生」だったお子さんはどのようになるでしょう?
志望校に入学できる喜びはもちろんのこと、これまで得られなかった自分への自信、「頑張れば夢って叶うんだ」という実感。これらを現実のこととして受け入れられます。そして、その気持ちがこれから先も継続され、不測の事態に見舞われることがあっても動じることなく、対処できる力が養われるのです。(先日も申し上げましたが、中学受験を体験し、成功した生徒が一流と言われる大学に進学できる率が高いのは単に「知識が豊富だから」だけではなく、子供のころから上記のような修羅場を乗り越えてきた体験があり、精神的に鍛えられてきたからです。そこで「人間力」が培われてきたということですね)
結論・・「受験勉強をすること自体が重要だ」というのは、その過程が自分の未知の可能性を見出すチャンスになるからです。そして、そこから成功を勝ち取ることで更に自信がつくようになります。ここで得られた体験が今まで述べてきた「不幸回避」の実現につながるのです。不幸回避の後は持ち前の「人間力」で自ら道を切り開いていくことが可能となります。中学受験が何十年後の自分を築くきっかけになるのです。ですが、それは中学受験の成功によって得られる「プラチナチケット」があってこそ。ですから今が踏ん張りどころなのですよ。皆さん。
お待たせしました。次回から「国語の学習法」に戻ります。