「何のために受験するの?」。④
2010年4月29日
以前、ある小説の中のやりとりで印象に残ったものがありましたのでご紹介します。
事業が成功し財を成したAを、彼との争いに敗れ無一文になったBが責める場面です。
B: 「君はあらゆる手を使って事業を拡大してきたが、他人を不幸にしてまで金を稼ぎ・・そんなに金が大切なのか?金さえあれば幸せなのか?」
A: 「私も金さえあれば幸せになれるとは思っていない。ただ、それによって大抵の不幸を避けることができる。」
今の時勢もそうではないでしょうか?贅沢したいからお金を得たいというより、得たお金を将来の安心を得るために貯蓄に回す。「幸福=不幸の回避」という考え方ですね。
私はこのような生き方を「夢がない」「消極的な生き方」だとは思いません。現実に根付いた生き方をすることは賢明だと思いますし、計画性のない生き方は自分だけでなく、周りを不幸にすることが多いからです。
受験もそうではないでしょうか?「公立中学に進学させたくない」「将来安定した職に就いてほしい」という動機も突き詰めると「不幸回避の発想」です。裏を返せば「公立中学だと不安、不安定な職種だと将来が不安。それは避けたい。」ということです。
親御さんはお子さんに幸せになってもらいたいと願う以前に、不幸にだけはなってもらいたくないという気持ちの方が強いのではないでしょうか?幸福を求めるよりまずは安定をということでしょう。
「将来の不幸を避け、安定を得るための中学受験」。これは十分動機となり得ます。
ですが、本当に中学受験にそのような効力があるのか?という疑問が残ります。
その話は次回させていただきます。