幼児期の育て方。③
2015年3月03日
続きです。
「好きなことし放題」=「我儘し放題」なのか?というのが前回のお話でしたが、後者が「他人を慮ることなく、自分の欲望を最優先に考える行為」であるなら、問題はその「他者を考慮しない」という点にあります。
さて、昨今の「他者を考慮しない少年事件」の加害者側の家庭環境を見ると決して恵まれているとは言えないケースが目立ちます。自分を受け入れてくれない環境で育つと、家庭内で逃げ場のない幼児は、親の顔色を伺いビクビク保身を図るか、生きるために強く自己主張せざるを得ないか、ストレスを発散するためその不平不満をより弱い立場の人間にぶつけるか、将来を悲観し自暴自棄から犯罪に手を染めてしまうか・・いずれにせよ、本人が望む望まないにかかわらず不健全な方向に進んでしまう可能性があります。ですから、少年犯罪における加害者は家庭内では被害者であるかもしれないということを少し考えてみてもいいのでは・・と思います。
話を戻します。前述の「我儘」というのが「他者を顧みない不健全な行為」であるにしても、概ね上記のような家庭環境で育てば(生き残りを賭けるため)否応なくこのような性質を持った子どもになってしまうかもしれないというです。
逆に親に愛情をたっぷり注がれ満たされた子は概ね「おっとり」しています。日頃自分が優しくしてもらっているので、他者にも優しくできる。つまり、どうしたら相手が喜んでくれるか、何をされれば相手は傷つくか、そのあたりを察する力に長けています。結果「好きなことをし放題」であったとしても他者を考慮しない「我儘」にはならない。健全に自己主張できるお子さんになれるのです。
「おっとりしたお子さん」の親御さんもまた「おっとりした方」であることが多い。こういうご家庭は中学受験での修羅場を迎えた時でも相互の信頼関係が強いので、お互い一致協力して難局を乗り切れることが多いです。
「しつけ」「道徳心」も大事ですが、その前に「子どもにたっぷり愛情を注ぐ」ことを最優先させれば、信頼できる親の言うことを素直に聞くお子さんになります。そして「しつけ」「道徳心」など、無理強いされたからやるというのではなく、それを十分理解したうえで身に付けることができるお子さんになれます。
次回に続きます。