入試を左右する「家庭力」 ③ 「焦らない・焦らせない」
2010年4月14日
入学間もない小中学生に、「最も好きな科目は何?」と聞いたところ、それぞれが「算数・英語」と答えるらしいです。そして、最終学年になるとこの二科目はたちまち「最も苦手な教科」になるそうです。
これはどういうことでしょう?
算数は単純な計算問題から始まり、英語はアルファベットの知識から始まります。つまり、両者とも要領さえわかれば安易に解ける水準からのスタートであり、生徒からも受け入れやすい。受け入れやすい分、「好きな教科」となるわけです。しかし、途中から文章題・図形問題、英語で言えば関係代名詞など、少し思考力が問われる問題(面倒くさい問題)が始まると、もうついて行けなくなくなります。
ですから、単純作業から思考力が求められる作業へ移行するときの「潮目部分」で、お子様にどのような接し方をしてきたかが重要となります。
単純作業はパッパと処理できます。思考が必要な作業は時間がかかります。この時間がかかる作業に移行したにもかかわらず、それに気付かず従来通り「もっと早くできないの?」とか「試験には時間制限があるんだよ。わかってる?」などと焦らせると、お子さんは「うるさいな」と感じたり(この時点ですでに学習意欲が損なわれています)、いつまでも考えている自分に劣等感を感じたり、このつらい状況から逃れようと(本当はつらい状況だと錯覚しているだけなのですが)他の楽しいことに逃げ道を見出そうとします。こうなってしまったらもうアウトです。自ら机に向かうことがつらくなるでしょう。
テストに時間制限があるのは百も承知ですが、今に時期のテストは模試であり、模試は本番のための実験材料・予行練習にすぎません。まだ、結果に焦ることはありません。
それより今は「特に算数・もしくは算数の要素を含む理科」について、多少時間はかかっても構いませんので、一つ一つの単元の克服に努めることが重要です。そしてそこをしっかり定着させることです。
それには「焦り」は禁物です。お子様が試行錯誤をしている時間は「成長の時間」ですので、そっと見守る程度にとどめ、そして時折「時間は気にせず、じっくり考えていいからね」と優しく声をかけてあげてください。
お子さん安心させてあげることが家庭での役割です。