「受験生の親」を経験しました。⑥
2013年3月29日
前回の続きです。
受験生を持つ親、講師に不可欠な要素として「共感能力」を挙げました。そしてその「共感能力」を得る第一歩として「言葉遣いを改める」ことを提案しました。
その「言葉遣い」で二つ目にお勧めしたいのが「プラス思考の文末で言葉を終わらせる」ということです。
例えば「国語のテストであと5点取れていれば偏差値50は確保できていた。その5点の失点の中には漢字の表記ミスによるものが5問(各1点)含まれていた」という場合の対処の仕方。
この事実はお子さんも十分認識し反省しているはずです。「しまったな」と思っているはずです。そこへ「だめじゃない、こんなところでミスしたら」「もっと漢字の勉強をしなさい」と親が「怒り」をストレートに表した場合、すでに反省しているところに叱咤が重なるわけですから、お子さんの心情は「そんなことわかっているよ、しつこいな」となり、気分よく机に向かわなくなるだけではなく、反抗的態度を顕にするでしょう。私が塾生や「わが子」との接触でいつも気をつけていたことは「受験期間中は学習することを楽しめるような環境をつくり、知らず知らずのうちに学力を身につけさせ、「上機嫌なまま」で受験を終了させる」ということです。つまり、ストレスとは無縁の受験を目指したというわけです。
上記の場合は、すでに子どもは反省しているわけですから「責める」のではなくお子さんに共感するような言葉から始めるのがベストです。例えば、「う~ん惜しかったな」「う~んもったいなかったな」などです。「う~ん」で先ずお子さんの心情を代弁し、共感してあげます。「惜しかった」「もったいなかった」には「これさえできていれば・・」という期待が含まれています。その「できていれば」という「次回を期待する気持ち」があれば、「次にはできるようにしよう」という意欲に繋がります。
更に「偏差値50取れていれば~」という「仮定の話」を続け、「志望校の枠が広がるね」「偏差値50は取れそうで取れないレベルなんだよ。もう一歩だったね」とお子さんに希望を与え、プライドをくすぐるような言葉で話で終わらせる。するとお子さんの表情は間違いなく晴れやかになっているはずです。気持ちが明るくプラスになっていますから「よし、次は頑張ろう」と素直に机に向かうはずです。この循環を繰り返す、繰り返せるような接し方をすることが肝要です。
「アイスクールでの授業は楽しい」というのはそこなのです。私は子どもに「媚を売るような面白い話」というのは授業中には行いません。ご父兄から貴重な授業料をいただいていますので、授業時間を私の「シロウト漫談」に費やすわけにはいかないからです。
それでも「楽しい」というのは、「講師がプラス思考で接してくれる」「だから気分よく学習できる」「気分がいいから定着する」「定着するから勉強がわかり楽しくなる」という意味なのです。
次回に続きます。